代謝がまだ戻ってない… 

お腹が苦しい…おやすみなさい。

明日を生き抜くために 

さあ、おやすみと言って。

まだ鼻が… 

まだ、完治せず。長いなあ…。

だから体がついていけない 

今日は一日暑かった…。

栄養剤で底上げしておいて 

明日もだらだらー。
もう、本当に完治して!!

ホントに 

治りがわるい風邪…。おやすみなさい。

代謝が死んでる 

汗をかいてぶり返した風邪とたたかう…

予定は予定通りにいかない… 

時間切れです…。

気をつけましょう 

ランサムが猛威をふるっておりますなあ…。きちんと自動更新して、自衛しましょう。
万全にしててもゼロデイ食らったらアウトだったりしますから…。

毎年熱波祭りでした 

さて、明日からはまたしばらく普通の日々に…。

Pandora No03 

 深い夜の色のローブを纏った天導天使は、感覚球越しに異形を見ながら、微動だにせずにいた。
 周辺にいた異形を幾体か巻き込んで、跡形もなく爆発したジェィイロムの周辺をじっと観察する。
 一時、異様な沈黙に包まれたその空間に、ふと気づけば、ジェィイロムが奇妙な動きで感覚球のすぐそばを通り過ぎていった。
 爆発に巻き込まれた異形を、感覚球を通して、自分のいる隠れ家に転送した。
 ヴン、という妙に電子的な音をたてて、ライアの遺骸が感覚球の前の床に吐き出された。
 天導天使の隠れている部屋にある感覚球は、もうずっと彼女の罪とともにあったから、ある程度の干渉は可能だった。
 恥辱と罪悪感を記憶している感覚球と己自身を、特殊な防壁で存在を隠し、少しずつ集めた実験器具で異形の研究を続けていた。
 異形殺戮部隊が始末した異形や、さきほどのように何らかの仕掛けや他の異形の巻き添えになって死体が残った異形をサンプルとして。
 研究室の端末にも干渉し、データも取り寄せて、彼らの生態を研究した。
 たとえば、透明な液体で満たされた球体で構成されていて、頭部だけが人型を維持している異形。しかし、あの頭は単なる肉の塊であり、脳にあたるものはまったくなく、眼球も、視神経もない。ただの形だけの器官だ。敢えて言うなら、体表に生えたうっすらとした細い毛が感覚器なのかもしれなかった。ある意味、巨大な細胞の連なりとも言える。
 今、目の前にあるものは、女性形の上半身と、蟻のような下半身で、鎌とも鞭ともつかない両腕を振る異形は、調べてみればセルロースが非常に多く、生物としては植物に近いことがわかっている。
 幻覚を引き起こす状態異常を引き起こす粉は、覚醒剤に近い化学構造をもつことも。
 骨格がすでに人型を失った金属の塊のような異形でさえ、どこかしらに、人の一部が残っていた。たとえば、骨格に。関節に。ときにはまったく関係のない神経が見て取れることもある。まるでテラトーマだ。
 元の形がないくらいまで解体して、はたと我に返る。
「これ以上に、滑稽ナこともナいでスネ…」
 自嘲する他ない。
 人の姿を失いつつある異形の自分が、人らしさを研究する、これ以上の滑稽さはない。
 それでも、やめることはできなかった。いつか、歪んだ人々を治すことができる日がきたら。
 外見ではわからぬところが歪んでいるかもしれない『あの方』のために。
 罪滅ぼしのように、感覚球に記録を残す。

 かつて、神のそばで放った小鳥が渦に吸い寄せられるように引き伸ばされ、捻れ、歪み、そして解けて似つかぬ異形になった時のことは瞼の裏に焼き付いている。
 生き物の形をあのように歪めてしまう強大な力を持ちながら、狂ってしまった――狂わせてしまった神の創ったものをただの人間が戻せるのだろうか。
 のろのろと己の伸び切った腕を上げてうなだれる。

 左右の肩に止まった片翼の鳥たちが、天導天使の心の乱れを感じたのか、大きく羽ばたいた。
 くわあ!と大きく鳴くのを、そっと長い指で撫でて、宥めて。そして、ぐっと鳥の胴体を掴んで肩の止まり木から毟り取ると、一気に握りつぶした。
 ぐぅ、と苦しげな低い鳴き声と、羽ばたこうとするもがきを感じたが、すぐに手の中で静かになった。
 長過ぎる指と指の間から、何ともしれない液体が滴り落ちて床を汚した。
 反対側にとまった鳥が、何も言わずに、一部始終をうかがっている気配がした。

 この鳥は一体どこから来たのか。
 ワタシの体はどこまでワタシの体なのか。
 痛みはない。
 喪失感もない。
 けれど、誰だかわからないから仮面を剥がす勇気もない。

 バラバラに解体した異形で汚した床を掃除する。
 感覚球を通した映像の向こう側で、心もとない姿で青年がフロアを横切っていくのが見えた。
 異形すら浄化する彼であれば、彼女も、彼女の罪も、浄化しえるのだろうか。

 気づけば、手の中で息絶えたはずの白い鳥の姿は消え、何事もなかったように、肩に止まっていて、
「くわあ」
と一声鳴いた。


end

Pandora No02 

 いつからかは忘れたけれど、頭が重い。
 全身の関節も痛む。
 ぎしぎしとぎこちない動きになっているのがわかる。
 足元がふわふわとする。熱があるのだろうか。
 時折、すれ違う影があるが、目を向ける余裕はない。
 どんどん顔が熱くなる。
 逆に、明るい光がどんどんと近づいてくる。
 その光の中には、
 ……ああ、そうだ。自分は。

 ドォン、と大きな爆発音がフロア中に響きわたる。

 飛び散った破片が、微かに蠢く。周囲のガラクタを引き寄せ小さな塊になった。
 短く、細い手足。
 対して、アンバランスに大きい頭部。
 それは、たった今、破裂した個体と寸分違わぬ異形だった。
 細い首に不自然に大きな頭部を、重そうに揺らしながら、立ち上がる。
 動く度に、ケクケク、と奇妙な音が全身の関節から発せられた。

 ――ああ、頭が重い。
 ――全身の関節が痛む。

 周囲は何も見えない。瞼は針金で縫い合わされているから。
 苦痛の呻きは漏れない。
 唇もホッチキスの針で留められているから。
 この頭に詰まった、異物をぶちまければ、楽になるだろうか。
 ※※※が解放したように。

 急速に閉じて暗い視界が明るくなって、熱をもって肥大した頭部が破裂する瞬間、何かの予兆が確信となって全身を駆け抜けたが、あとは虚しく弾け散るばかり。


end

Pandora No01 

 涼やかで控えめな、音色が聞こえた。
 最近、資料に没頭して来客に気づかないことが増えたために設置した、簡易なドアベルだ。
「あの…」
 ドアの隙間から顔を覗かせたのは、おどおどとした少女だった。サイドにゆるく括った髪を前に垂らし、近隣の高校の制服姿からして、帰り道のようだ。
 肩からかけた鞄の持ち手をぎゅ、と握りしめている。
「マエゾノアヤカ様でしょうか?」
 私が予約した時の名で声をかけると、彼女はこくりと頷いた。
「……よかった……」
 安堵したように息を吐いて、するりと入ってきた少女は、改めてこちらにぎこちなくお辞儀した。
「よ、ろしくお願いします」
 ただし、目線は決してあわない。
 琥珀と灰色の入り混じったような、その淡い瞳はカラーコンタクトなどではない色合いの、正真正銘のバロックであることを示していた。
「こちらへどうぞおかけください」
 近隣の学校指定のスポーツバッグを脇に置いた少女は、こちらが促す前に、いそいそとバッグのファスナーを開けて、中から何かを取り出した。
「あの、こちらでは呪われた人形から解放されるバロックも扱ってますか?」
 そっと鞄から頭をささえるように抱き上げて取り出したのは、赤ん坊よりひとまわり小さい、横たえると目をとじる、いわゆるミルク飲み人形だった。
 塩化ビニル製と思われる、発色の良いバラ色の頬をしたその人形はしかし、抱き起こしても目を開けなかった。
 それも道理、上瞼と下瞼は執拗なまでに黒い刺繍糸で縫い合わされていて、小さな唇もじぐざぐに縫い止められていた。
 両目や、頭部には、何個も画鋲が刺してあり、頭部の部分が照明をきらきらと反射する。
 そのおぞましさに、内心でぞっとしながらも、私はしたり顔で、頷いてみせる。
「なるほど、かなり恨みが深いようですね」
「……はい。この中には何年もの呪いが詰め込まれているんです」
 びくびくとした物言いをする割には、その人形をしっかりと抱いて離そうとはしない。
 こちらで預かって浄化します、という文言は通らなそうだ。
「――、では、その人形の願いを叶えてあげたらいかがでしょう」
「……願い?それは呪いを成就させる、ということですか……?」
「呪いというと負の感情の塊ですが、元は願望から発露したものです。その願望を叶えてやれば、呪いも解放されるでしょう」
 私の口はすらすらと都合の良い言葉を紡ぐ。
「この子の、願い……」
 ゆっくりと考えを巡らせている様子に手応えを感じる。
「実は、この子の母の持ち物だったのですが、……半年ほど前に亡くなりまして」
「それはご愁傷様です」
 それならば、願いを叶えたところで、それは母親のものになってしまうか、とよぎる。
「あなたがこの人形を見つけた時から、ずっとこのような姿だったのですか?」
「いいえ。見ているうちに、どんどん呪いがかけられてこんな姿になりました……」
 その後、ぽつりぽつり、と人形について話はじめた依頼人の言葉から、私はひとつのバロックを作り上げた。

『処刑人が斬首した首を埋葬した墓地に植えられた蔓薔薇だ。
 埋葬された首が百になる時、私の蕾がひとつ開き、彼らの罪が許され、天の扉が開く。
 けれど、随分前から処刑人は不在で、その斧だけが、私のそばに立てかけられている。
 しかしようやく処刑人が任命され、次の執行が執り行われることが決まった。ようやく扉が開き、墓に眠る罪人たちが許される時がきたのだ――』

「六日後の新月が願いを成就させるのに、最適な日となるでしょう」
 私があえて呪いという言葉を使わず、願い、という言葉を使うと、焦点が合わない瞳がこちらをじっと見つめてきた。
「これが……これで、この人形は解放されるんですか」
「はい」
 私が安心させるように頷くと、アヤカの肩からすっと力が抜け、焦点は合わないままながらも表情は穏やかになっていた。
「……ありがとうございます」
 ずっと手にしていた人形を鞄の中に戻し、料金を置いて立ち上がる。
 私は、戸棚の中から、依頼人が直前にハーブと共に置いたそれを手に取った。

* * * * *

 母は優しい人だった。
 一度も怒ったことはなく、いつも自分に笑いかけてくれる顔だけが記憶に残っている。
 父親は出張や朝帰りが多く家にいることは少なかった。わたしが中学に上がった頃には離婚した。
「……?」
 思い出の中に、妙なノイズが紛れだした。
『なに、その目は!親をそんな目で見るのはやめなさい!』
 ヒステリックに叫ぶ母親を、わずかにあけた引き戸の隙間から見ていた。
 ――そう、あの時。
 夜中にトイレに起きて、その聞いたこともない音がとても気になって、わたしはそっと音の聞こえる部屋を覗き込んだ。
 そこには、全身をこわばらせ、目を血走らせた恐ろしい形相の母親がいた。
 ――見てはいけないと幼心に思ったのだと思う。そのあとは、こっそりと布団に戻った記憶まで飛んでしまう。
 けれど、見てはいけないと思った母親の姿はたびたび見たし、徐々に頻度も増えていったが、わたしは興奮している母親に見つからないように、ずっと息を殺して様子をうかがっていた。
 人形は、徐々に傷が増えていった。
 最初は、ただ、針で一回突いただけだった。それで、突然なにか憑き物が落ちたように母親の表情が柔らかくなり、肩の強張りがほどけた。
 針で突く回数が、二回になり、三回になり、画鋲にとってかわって、目立つようになった穴を塞いだ。
 そうやって、ほとんど原型を失った頃。ちょうど、半年前のことだ。
 帰宅したわたしの耳に飛び込んできたのは、がりがりと床をひっかく音と、低い呻き声だった。
 慌ててキッチンを覗くと、母親が頭を抱えていた。
「どうしたの!?」
 声をかけると、母親はゆっくりと顔をあげて、わたしを見た。覗き見ていた鬼の形相そのもので。
「あんた、わたしを呪ったわね」
 ありったけの憎しみのこもった目で睨みつけられ、ただ立ち尽くしたわたしの眼前で、母は電池切れのおもちゃのようにばたりと派手な音をたてて、倒れた。
 なにが起こったのかわからないまま、しばらく呆けていた。
 本音を言えば、さきほどの母の形相が恐ろしくて、近寄られなかったというのもある。
 それでも、このままではいけないという常識的な理性の指摘に、震える指先で救急車を呼んだ。
 結局、意識を取り戻すことなく、母親は亡くなった。脳内出血だった。
 親戚が駆けつけて、葬儀をすませるまではよく覚えていない。
 一番大事な食器が入っている戸棚をあけると、あの人形が座っていた。
 あれだけ破壊されながらも、首を少し俯けただけで、きちんとした姿勢で、存在していた。
 わたしは、呪いの塊だけが、残されたのだと、思った。
 ――そう、母親に関する一連の思い出をバロック屋に話して、いくつか質問をうけたら、それ以上のことは何も言わず、バロックを探してもらうことができた。
 淡々とした態度は素っ気なくもあったが、母や自分に対する気遣いや、嫌悪など、一切なかったのは逆に好感がもてた。
『これは最後の呪いの弾丸。最後の呪いを打ち込むことで、この人形の呪いは成就し、普通の人形に戻れます』
 そう言って去り際に渡されたのは、十センチに近い長さの釘、だった。
 カレンダーを確認して、さらに星のいくつか浮かぶ空に月がないことを確認して、わたしは、呪いの釘を釘打ち機に仕込んだ。呪いの詰まった、頭部に押し当てる。
 やはり、手が震えてしまう。
「叶えてくれる人はいなくなったから」
 せめてわたし自身が。
 最後の引き金を引いた。
 プシュ、というエアの音が大きく響いて、呪いが放たれた時、わたしはショートするわずかの瞬間に、形のない希望の姿を視て、世界の未来を視た。

 思考は意識される前に、少女は母親と同じ場所に倒れ伏し、頭部付近の床に、血が流れ出した。
 丸い頭だけとなった人形が、少女をじっと見ていた。

* * * * *

 事務所に届いたその箱の送り主は、先日の女子高生のものだった。
 月齢を確認すれば、月が満ちていく始めの日だ。新月は過ぎ去ったのだ。
『わたしも解放される日が来ました』
 便箋一枚に、そんなメモ書きがしてあった。
 無遠慮に、横からルビが覗き込んでくる。
「あの呪いの人形?」
「人形の、胴体のほうだ」
 彼女はずっと、頭部を気にしていた。無傷の胴体ではなく、損傷の激しい頭部を。
 抱き上げるときも、首のあたりを締めるようにしていたし、彼女にとって呪いの詰まっていた器は人形の頭部だったと思ったのだがどうやら正解だったようだ。
「でも、あの子、結局最後の呪いの弾丸ならぬ、呪いの釘で自分の頭を打って死んだんだよね? どういうつもりだろう」
「……おまえ、その情報、どこから」
 まだ、バロック情報の集まるサイトには載っていない情報だ。
「バロック仲間の情報」
「おまえの情報網、本当に紹介してくれ」
「仲介料高いよ?」
 間髪をいれずに返ってくる答えに、私はぐっと詰まる。
 こいつが言うからには、本当に高い値段をふっかけられるのだろう。
 だから、私はそれ以上情報源について探るのはやめて、さきほどの問いに答えてやることにする。
「依頼人自体が、呪われた人形だったってことだろうな」
 あの人形は母親が遺したものだという。日々のストレスのはけ口だったのかもしれないが、母親の恐ろしい行為を、依頼人はたびたび目撃していた。
 どんな人だったか、という問いに対しても、特に虐待を受けたこともないし、逆に、自分に隠れて人形にあんなに残酷なことをしたのかがわからない、と困惑した様子でいた。
 その「なぜ」が逆に依頼人を刺激したのだろう。
 いつしかその人形と自分を重ねて、呪われていたのは自分だと錯覚していたのだとしてもおかしくない。
「じゃあ、アヤカの中に呪いが溜まっていったんだね」
「そのままだったら、いつか母親に危害を加えたかもしれない状態だったんだろうが、爆発する前に母親は死んでしまったからな。解放させる術もわからなくなってしまったんだろう」
 結果、呪いが詰まった人形と、依頼人だけが残された。
「アヤカはどっちがお母さんの本当の姿だと思ったんだろうね」
「人間なんて、いくつも顔をもっているものだからな」
 ルビは無言のまま、頭のない人形の胴体をもって、腕を動かしてこちらに向けた。
「『バロック屋さん、ワタシの頭をさがしてください』」
「有料でな」
 先程のささやかな仕返しのように言うと、うわ、最悪、とルビが眉をしかめる。
 バロック屋の情報サイトを開くと、つい数分前にアヤカの死についての情報が更新されていた。


end

イブ 

大熱波記念日、前夜。もうすぐ、SSをアップします。

準備中 

大熱波記念日準備中のためおやすみ。